「無添加」「不使用」禁止?!要点を解説!

「無添加」ガイドラインの背景

「無添加」や「食品添加物不使用!」といった表示が積極的に行われていますね。なんとなく、安全そうな印象や体に悪いものが入っていないような印象を持っている方が多いそうです。実際に、60%以上の方がそういった表示を見て商品選択をすることがあるとの調査結果もあります。(令和2年度 食品表示に関する消費者意向調査」(消費者庁)

しかし、一般的に食品添加物は食品の品質保持を目的に添加されているものであり、決して食品添加物は有害なものではありません。

このため、2022年に消費者庁が「食品添加物不使用」の表示について定めた「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を発表することになり、このガイドラインは2022年3月から適用されていますが、表示の見直しやパッケージ・ラベルの入れ替えのため2年間の移行期間が設けられています。
このガイドラインは2022年3月から適用されていますが、表示の見直しやパッケージ・ラベルの入れ替えに時間がかかることなどから、2年間の移行期間が設けられています。
関連事業者は、2024年3月末までにガイドラインに則ったパッケージに改版する必要があります。

現在は食品表示基準に関するガイドラインのためパッケージデザインや商品裏面表示が対象となります。「広告」はガイドラインの対象外ではありますが、消費者に誤認を与えないこと、またその添加物を使用している他社製品の誹謗につながるような広告内容は慎む方向で表示決定しておくべきと考えられます。

参考:表示を作成する際に注意すべき10類型

類型1:単なる「無添加」の表示
類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
類型6:健康、安全と関連付ける表示
類型7:健康、安全以外と関連付ける表示
類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用さ
れていないことが確認できない)食品への表示
類型 10:過度に強調された表示

「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の10類型イラスト (caa.go.jp)

10パターンの無添加等の表示ガイドラインが制定されていますが、特に多いとされる内容について以下にまとめましたので参考にしていただければと存じます。

無添加に関する不適切な例

単なる「無添加」の表示

例:「無添加!」 

対象を明示せず単に無添加と表示をすると、何を添加していないのかが不明確であるため、添加されていないものについて消費者自身が推察することになり、一般的に消費者が推察した内容が事業者の意図と異なる場合には内容物を誤認させるおそれがあります。

人口甘味料、合成添加物などの表示

例:「人工甘味料不使用」等、無添加あるいは不使用と共に、人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示

食品衛生法において、食品添加物には化学的合成品も天然物も含まれており、いずれも使用が認められています。

人工、合成、化学及び天然の用語を用いた食品添加物の表示は適切とはいえず、こうした表示は、消費者がこれら用語に悪い又は良い印象を持っている場合、無添加あるいは不使用と共に用いることで、実際のものより優良又は有利であると誤認せるおそれがあります。

健康、安全と関連付けた表示

例:「無添加だから安全」「おいしい無添加」など

おいしい理由として食品添加物の不使用表示をする際に、おいしい理由と 食品添加物を使用していないこととの因果関係を説明できない場合には、実際のものより優良又は有利であると誤認させるおそれがあります。
「保存料不使用なので、お早めにお召し上がりください」と「開封後」に言及せずに表示することで、期限表示よりも早く喫食しなければならないという印象を与えた場合には、食品表示基準第3条の規定により表示すべき事項の内容と矛盾するおそれがあります。
商品が変色する可能性の理由として着色料不使用を表示する際に、変色と着色料の用途との関係について説明ができない場合には、内容物を誤認させるおそれがあります。

無添加は正しく表示すること

2024年4月以降、食品の表示ラベルやパッケージには無添加ガイドラインが反映され、店頭に並ぶようになります。

広告は対象外ではありますが、「無添加」が与える印象を十分に加味して広告づくりをする必要があると考えられます。表示と同様に広告にも無添加表示規制が及ぶ可能性も無きにしも非ずと考えらえます。

食品の広告においても誤認を与えることのないよう、適切に表示することを心掛けましょう。

<参考>

「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf