化粧品の特記表示ルール改正:約40年ぶりの更新ポイント解説

目次
はじめに
化粧品業界に携わる皆様
化粧品の特記表示のルールが約40年ぶりに更新されました(令和7年3月10日付)。
本記事では、改正の重要ポイントと実務への影響について解説します。
特記表示とは
特記表示とは、化粧品中のある特定成分を抜き出して記載することです。
従来は、このような表示があたかもその成分が有効成分と誤認させる恐れがあるため禁止されていましたが、
今回の通知に基づき、一定の条件下で認められることになりました。
改正の目的
今回の改正目的は「化粧品の広告を巡る環境の変化を考慮し、より理解しやすい表現に修正するため」とされています。
参考資料
特記表示が認められる条件
特記表示は以下の条件を満たせば認められます:
- 配合目的を必ず併記すること
- 効能効果及び製剤技術に基づく表現であること
- 客観的に実証されていること
- 植物の写真などで成分を説明する場合
- 成分名と配合目的を必ず記載すること
- 例:「アロエエキス:保湿」
- 記載不可の成分
- 成分名に「薬」の字や医薬品を想起させる字が含まれるものは記載不可
- 例:生薬、薬草、薬用植物、漢方など
改正のポイント
1. 特記表示の定義に変更あり
旧定義:
「商品に配合されている成分中、特に訴求したい成分のみを目立つよう表示する事である。」
新定義:
「化粧品における広告や包装において、商品に配合されている成分中、特定の成分を表示することである。」
この変更により、成分を強調しているかどうかに関わらず、特定成分を表示することが特記表示の対象となりました。
2. 配合目的の表現に関する変更
配合目的は化粧品の効能効果及び製剤技術に基づく表現とし、「事実である」という表現から「客観的に実証されていること」という表現に修正されました。これにより、より厳格な根拠が求められるようになりました。
3. 統括的成分の表示に関する変更
「植物成分」「植物抽出液」「海藻エキス」「動物成分」「ハーブエキス」など、個別成分でなく統括的成分の場合は配合目的の記載は不要という記載が削除されました。
今後は、統括的成分についても:
- 該当する「表示成分名」
- 「配合目的」
の記載が必要となる可能性が高いです。
しかし、統括的成分については「特記表示」でないと判断されている可能性もあるため、今後の動向を注視しておく必要があります。
4. 医薬部外品の有効成分に関する変更
これまで医薬部外品の有効成分でもあるビタミンA、Eなどについて、化粧品の配合目的として「肌荒れを防ぐ」と記載することは、有効成分と誤認を与えることから不可とされていました。
今回の通知により、以下の条件を満たせば記載可能となりました:
- 広告全体から明示・暗示を問わず有効成分と誤解を与えないこと
- 配合目的が客観的な実証に基づくこと
実務への影響と対応策
今回の改正により、化粧品のパッケージやウェブサイト、カタログなどの広告表現を見直す必要があります。特に以下の点に注意しましょう:
- 成分表示の見直し
- 配合目的の表現の客観的な実証確認
- 統括的成分の表示方法の変更
- 医薬部外品の有効成分と同じ成分を使用している場合の表現方法
まとめ
約40年ぶりの改正となる今回の特記表示ルールの変更は、化粧品業界にとって大きな変化です。適切な対応を行い、消費者に誤解を与えない、正確で分かりやすい表示を心がけましょう。
ご質問やご相談がございましたら、お気軽にコメント欄やお問い合わせフォームよりご連絡ください。