お知らせ&コラム
薬機法チェック、自信をつける方法とは
2023.11.14|もっと知りたい薬事広告|気ままにおしゃべり
化粧品等や健康食品などの広告に関る方は、
日々の実務の合間を縫って薬機法や景表法などの法規制を学び、
広告表現テクニックに関する情報収集に尽力されています。
時々ご相談内容のなかで「積極的に勉強してはいるが、なかなか自信が持てない」という声をいただきます。
私は今や薬事広告コンサルタントとして仕事をさせていただいていますが、
化粧品メーカーで薬事部門に異動したての時期はちんぷんかんぷんでした。
今のは暗号?みたいな。
そのようななか、私が「薬事広告チェックに自信を持てる」ために効果的だと考える方法を3つご紹介します。

①実際の商品広告をたくさん目にする
WEB広告、チラシ、テレビCM、商品POPなど、身の回りには商品広告であふれています。
ご自身の業務カテゴリーに近い商品群の広告があれば、
必ず目をとめて内容を確認することをおすすめします。
- ルールにならって表記されているか
- グレーだと思う部分はないか(なぜグレーだと思ったか思考を深める)
- 様ざまな表現方法に触れる
上記を念頭に置いて、目を通されると吸収できるものがあるでしょう。
特に、※印(注釈)部分に着目してみると、
規制の回避方法などを学ぶことが多いでしょう。
ただし、商品広告として世に出ているものがすべて問題ないと判断された広告ではないことをご留意ください。
たとえ大手企業でも、相違なく指摘を受けているケースもあります。
②なぜOKか、NGかを人に説明できるようにする
たんにOKやNGとチェックを付けるだけであればそこまで難しいものではありません。
しかし、NG部分について、「なぜ不適切なのですか?どうすればOKになりますか?」と聞かれたときに
担当者の力量が問われるのではないでしょうか。
そのため、NGと判断した部分については、
どういった法規制orガイドラインに抵触する可能性があるから不適切なのかを明確に説明できるように
訓練することをおすすめします。
できれば、チェックする際には該当した業界ガイドラインのページ等を併記しておくとよいでしょう。
また、グレー(OKかNGか判断に迷う)部分については学びの宝庫です。
どのような法規制orガイドラインに抵触するかもしれないかを明確にしておくことで、
上長に判断を仰ぎやすくなったり回避する方法を見出したりできます。
(ちゃんと説明しないといけない上司がいれば自然とトレーニングになります)
③1つの商品LPなどを見て複数人とディスカッションを行う
薬事広告を規制している薬機法や景品表示法で最も重視されることは「広告全体の印象」です。
そのため、様ざまな人の価値観や考え方に触れておくこともチェック担当者としては大切になります。
商品LPなどある程度ボリュームのある広告を題材にして、
複数人でディスカッションを行うことで様ざまな人の考え方や受け手の印象を知る機会になります。
ディスカッションの内容の一例をご紹介します。
- グレーだと思う部分(判断に迷う)
- NGだと思う部分
- 上手い表現と思った部分
これらについて、なぜそう思うかを意見交換することで新しい視点を持つことができ、
チェックやリライト案の考案に役立つことでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
薬事広告のチェックは、法規制や業界ガイドラインを熟知するだけでは
なかなか自信を持って実践することはできません。
- 実際の商品広告をたくさん目にする
- なぜOKか、NGかを人に説明できるようにする
- 1つの商品LPなどを見て複数人とディスカッションを行う
これらを心掛けることで必ずご自身の判断に自信をつけることができるはずです。
特に3つめの「1つの商品LPなどを見て複数人とディスカッションを行う」ことは、
各チームのメンバーで定期的に勉強会のような機会を設けて実践されることをおすすめします。
企業内研修をはじめ、薬事広告チェック&リライトのスキルアップをお考えの方はお気軽にご相談ください。
健康食品|化粧品|広告表現|景品表示法|薬機法
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2025.11.18|読み物
肌と髪の浸透表現を薬機法のルールとともにおさらい【NGワード/OKワード】
気温が一気に下がり、空気がぴりりと乾燥する今日この頃。オンラインでもオフラインでも、「保湿・うるおい」というキーワードが増え、乾燥対策にフォーカスした広告やコンテンツが増えてきました。 今回は、薬機法ビューティエディターとして活動する筆者が、薬機法(旧薬事法)における浸透の範囲をおさらいし、NGワードを含めたルールの解説と、広告表現の注意点をわかりやすくご紹介。ECメディアが行うピックアップページ、インスタグラムやX(旧Twitter)によるインフルエンサーのPR、メーカーやブランドが展開する保湿アイテムの訴求テキストなど、多岐に渡る広告ページを正しくカバーするために、“スキンケア、ボディケア、ヘアケアに適した浸透表現”をシンプルにまとめました。特例としてチェックしておきたい、髪の浸透表現もお見逃しなく。 肌・スキンケアの保湿、うるおい表現 スキンケアに用いる浸透表現は、薬機法に抵触する“うっかりパターン”が多いため、慎重な言葉選びが求められます。肌へのうるおい表現の主なルールとして、化粧品(化粧水・乳液・美容液・クリーム・シートマスクなど)が作用し届くのは、角質・角層までの範囲。原則として、表皮の基底層や真皮など、奥の層まで浸透するかのような言い回しはNGです。 会話でのアプローチやテキスト説明、使用感とコメント、ビジュアル演出も同様に、「角層の奥まで」「肌の奥まで」という表現は避ける必要があります。また、景品表示法の観点では、「今までの美容液全部捨てた!」といった誹謗比較に該当する言い回しや、「1週間で肌が生まれ変わる!」などと謳うおおげさなキャッチコピーもチェックの対象です。PR案件や商品口コミ、レビューは、ユーザーにとって身近な体験談を聞くことができる貴重な訴求コンテンツなので、しっかりと言葉を整え広告に活用したいところ。 NGワード一覧 肌の内側に届く 乾燥肌を改善 真皮層まで浸透(承認済み薬用化粧品のみ可) うるおいが100時間持続 他にはない唯一のうるおい効果 OKワードのヒント 角層のすみずみまで 気になるカサつきをケア 肌に行き渡る ※角層まで うるおいが心地よく持続 うるおいに満ちた肌感に ブランドの世界観を壊さず、読み手の気持ちに寄り添う“音感”や“情緒”を持たせることもポイントです。たとえば、リズムや響きのある言葉選び、やわらかな単語の組み合わせ、媒体のムードに沿うトーンや語彙。私自身、こうしたニュアンスを丁寧に紡いだ、正確さと美しさを両立する文章作りを意識しています。 体・ボディケアの保湿、うるおい表現 パーツごとに多彩な関連商品が紐付けられている、体という大きなカテゴリ。保湿を担うアイテムも、ボディウォッシュ、ボディオイル、ボディクリーム、バスエッセンスなどがあり、パーツ別にカテゴライズすると、ハンドケア、ネイルケア、かかとケア、デリケートゾーンケアなど、目的や使用部位に応じたプロダクトが豊富に存在しています。 肌への浸透表現は、スキンケアと同じく角質層(角層)までが基本。さらに押さえておきたいのが、ラインナップ範囲が広いボディケア製品に多い、“付加価値の訴求”にまつわる表現です。「疲れを癒しリフレッシュ」「不眠を解消するリラックス効果」「ストレスを緩和」「低刺激で安心」「血行促進」など、医薬品的作用や改善が得られるかのような、本来の機能を超えた副次的効果を想起させる、インパクトを重視したNGワードが散見されます。 NGワード一覧 アロマセラピーで疲れを忘れる 疲労を取り除きリラックス 赤ちゃんにも使えて安心安全 バスエッセンスでデトックス 温浴効果でストレスを打破 OKワードのヒント 香りを楽しめるボディケア 心までほぐれるような芳香 やさしい使い心地 バスエッセンスでご自愛時間を 気持ちを切り替えたいバスタイムに 香りやテクスチャー、使用シーン、パッケージ、植物由来成分など、保湿効果とともに伝えたいアピールポイントはたくさんあります。香りがもたらす情緒的な表現や使用感、心地よさなど、情報やワードを正しく整えながら、商品の魅力を余すことなく引き立てる言葉選びを意識してみてはいかがでしょう。 髪・ヘアケアの保湿、うるおい表現 ヘアケア製品は、毛髪と頭皮を清浄するシャンプーなどの“落とすケア”と、髪のうるおいや油分を補い保つヘアトリートメント&ヘアコンディショナー、ヘアオイル、ヘアミルクなどの“与えるケア”に大きく分類されます。保湿に加え、ハリやコシ、切れ毛、枝毛、帯電防止にも訴求範囲が広がる、プロダクトが持つ強みや特徴を伝えやすいカテゴリです。 浸透表現に関しては、肌のうるおい表現ではNGとされる「内部まで保湿」という表記がOKに。「髪の内側に浸透」「芯までうるおいを届ける」などの標榜が可能となります。ただし、毛髪の約85%を占めるコルテックスや、髪の中心に位置するメデュラなど、髪組織へのアプローチを名称とともに記載する際は、エビデンスの確認が必須です。「治る」「修復」など、状態を改善させる表現は不可となります。 NGワード一覧 乾燥した髪をうるおいで蘇らせる ダメージヘアをトリートメントで修復 頭皮トラブルを防止 瞬時にツヤ髪へ再生 毛質改善で徹底保湿 OKワードのヒント 髪の内側までうるおいを与える ダメージヘアをトリートメントで補修 頭皮をすこやかに保つ 指通りのいいツヤ髪に しっとりまとまる髪へ ヘアオイルなどのヘアケア製品は、季節を問わずギフトにも選ばれる“フレグランス未満”の人気モノ。艶めきと芳香をそっと髪にまとうことで、日常に小さな高揚感を与えてくれます。ワードの美しい言い換えとともに、使用シーンが思い浮かぶような香りのストーリーを描くと、きっとプロダクトの魅力が伝わるはず。 伝えることと守ることを大切に。心に響く表現と、薬機法に基づく正確さを両立した広告サポートを得意としています。言葉選びに迷われた際は、どうぞお気軽にご相談ください。 薬機法ビューティエディター 渡邊 1989年生まれ、一児の母。百貨店でのアパレル販売職を経て、2016年からライターとして独立。大手Webファッションメディアにて記事執筆を手がけ、現在は主に薬機法を考慮した美容コンテンツの製作を担当。PR企画や広報・広告サポートなど多方面で活動中。 お問い合わせ・無料相談お問い合わせフォーム:[お問い合わせ - 京都薬事広告ラボ株式会社] 薬機法広告コンサルティング [京都薬事広告ラボ株式会社]
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2025.09.18|お知らせ|案内
薬機法広告コンサルティングサービスのご案内
いつもお世話になっております。 美容・健康商品を扱う企業様の広告表現でお困りのことはございませんか。 弊社では、薬機法に準拠した広告表現のコンサルティングサービスをご提供しております。 弊社のサービス内容 1. 薬機法・景表法広告コンサルティング 広告表現コンサルティング化粧品、健康食品、医療機器など、商品カテゴリに応じた適切な広告表現をご提案いたします。売上向上と法令遵守を両立した効果的な訴求方法をサポートします。 広告審査・チェックサービス既存の広告やWEBサイト、パンフレットなどの表現を薬機法・景品表示法の観点から詳細にチェックし、リスクのある表現を特定して改善案をご提示いたします。 薬事顧問サービス切れ目のない伴走型コンサルティングとして、薬事顧問サービスをご提供しております。継続的なサポートにより、日々の広告運用から新商品開発まで、あらゆる場面で安心してご相談いただけます。 2. 薬事広告セミナー・講座 企業向けセミナー社内での薬機法・景表法の理解を深めるための企業向けセミナーを開催しております。広告担当者様や営業担当者様向けに、実務に即した内容をお伝えします。 定期講座・勉強会最新の法規制動向や具体的な事例を交えた定期講座を実施。継続的な学習により、自社での適切な判断力を養っていただけます。 3. 女性向け商品マーケティング支援 女性目線でのマーケティング戦略美容・健康商品において重要な女性消費者の視点を活かしたマーケティング戦略をご提案いたします。薬機法に準拠しながら、女性に響く効果的な訴求方法をサポートします。 商品開発・ブランディング支援女性のニーズを的確に捉えた商品開発やブランディング戦略の立案をお手伝いいたします。 このようなお悩みをお持ちの企業様へ 広告表現が薬機法に違反していないか不安 効果的な訴求をしたいが、リスクが心配 競合他社の表現を参考にしたいが、適法性が分からない 新商品の広告表現を事前にチェックしてほしい 行政指導を受けたことがあり、今後のリスクを避けたい 安心してお任せください 美容・健康商品の広告表現は、適切な対応により売上向上と法令遵守を両立できます。豊富な実績と専門知識を活かし、皆様のビジネス成功をサポートしてまいります。 なお、この度より分かりやすい情報提供のため、ホームページをリニューアルいたしました。サービス内容や事例紹介など、詳細な情報をご覧いただけます。 薬機法に関するご不安やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。 お問い合わせ・無料相談お問い合わせフォーム:[お問い合わせ - 京都薬事広告ラボ株式会社] 薬機法広告コンサルティング [京都薬事広告ラボ株式会社]
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2025.08.18|お知らせ|メディア実績
【メディア掲載のお知らせ】韓国化粧品協会公式サイトに掲載されました
韓国化粧品協会「日本向け輸出代行機関リスト」に弊社が掲載 この度、韓国化粧品協会(KCIA:Korea Cosmetic Industry Association)の公式ホームページにて、「日本向け化粧品輸出代行機関案内(2025年改正版)」に弊社が掲載されましたことをお知らせいたします。 掲載内容について 掲載機関: 韓国化粧品協会(Korea Cosmetic Industry Association) 掲載日: 2025年8月18日 掲載内容: 日本向け化粧品輸出代行機関リスト(2025年改正版) 確認URL: https://kcia.or.kr/home/law/law_08.php?type=view&no=16896&ss=page%3D%26skind%3D%26sword%3D%26ob%3D 韓国化粧品協会について 韓国化粧品協会は、韓国の化粧品産業の発展と競争力向上を目的として設立された業界団体です。韓国の化粧品企業の海外進出支援、技術開発促進、品質向上などの活動を行っており、K-ビューティーの世界的な普及に重要な役割を果たしています。 掲載の背景 近年、韓国の化粧品企業の日本市場進出への関心が高まっています。K-ビューティーブームの影響で、日本における韓国化粧品の需要は急速に拡大しており、多くの韓国企業が日本市場への参入を検討しています。 このような背景を受け、韓国化粧品協会では会員企業の海外進出支援の一環として、日本の化粧品関連許認可および輸出業務を代行する機関の情報調査を実施し、その結果として信頼できる代行機関のリストを公開しました。 弊社のサービス内容 弊社では、韓国化粧品企業様の日本市場進出を包括的にサポートするため、以下のサービスを提供しております: 法規制対応サービス 日本の薬機法(旧薬事法)に関するコンサルティング 成分や市場に関する調査 マーケティング支援 日本市場調査・分析 販路開拓支援 流通パートナー紹介 プロモーション戦略立案 ラベリング・表示対応 日本語ラベリング作成 薬機法準拠の表示確認 パッケージデザイン調整 日本市場進出の重要性 日本は世界第3位の化粧品市場規模を誇り、品質に対する要求水準が高く、新しい美容トレンドに敏感な消費者が多い魅力的な市場です。特に以下の点で韓国化粧品企業にとって重要な市場となっています: 重要事項のご案内 韓国化粧品協会より以下の重要事項が明記されています: 「本リストに掲載された代行機関は、韓国化粧品協会が公式に認定または推薦する機関ではなく、各会員企業におかれましては参考資料としてご活用ください。本案内を通じて協会が経済的利益を得ることはなく、代行機関との実際の業務進行時に発生する問題について、協会は民事・刑事上の責任を負いません。」 弊社といたしましては、この掲載を機に、より一層韓国化粧品企業様への質の高いサービス提供に努めてまいります。 最近の日本市場動向 K-ビューティーの成長 韓国化粧品の日本向け輸出は、2017年の1億9,000万ドルから2021年には5億8,452万ドルまで増加し、5年間で年平均32.4%の成長率を記録しています。現在、日本の化粧品輸入市場において韓国は第2位の地位を占めています。 人気カテゴリー スキンケア製品(特にシカケア、レチノール配合品) マスクパック クッションファンデーション リップティント アイシャドウパレット 消費者動向 10代:72.9%が韓国化粧品使用経験あり 20代:61.7%が使用経験あり 30代:51.2%が使用経験あり 弊社の強み 専門知識と経験 日本の化粧品法規制に関する深い知識 薬機法対応の専門スタッフ 実績と信頼性 多数の国内化粧品企業様との取引実績 韓国化粧品協会掲載による信頼性 継続的なフォローアップ体制 透明性の高い料金体系 まとめ この度の韓国化粧品協会への掲載は、弊社にとって大変光栄なことであり、韓国化粧品企業様への更なるサービス向上の機会と捉えております。 日本市場への進出をご検討中の韓国化粧品企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、お客様の日本市場進出を成功に導くため、全力でサポートいたします。 K-ビューティーの更なる発展と、韓日両国の美容業界の交流促進に貢献できるよう、今後も努力してまいります。 お問い合わせ 日本向け化粧品輸出に関するご相談やお見積りについては、以下よりお気軽にお問い合わせください。 韓国化粧品協会掲載企業として、信頼性の高いサービスをお約束いたします。 関連サービス 薬機法コンサルティング 日本市場調査 販路開拓支援
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2025.07.23|お知らせ|案内
【夏季休業のお知らせ】
いつも弊社ホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。 誠に勝手ながら、下記の期間を夏季休業とさせていただきます。 ■ 休業期間2025年8月8日(金)~ 8月17日(日) 休業期間中にいただきましたお問い合わせにつきましては、**8月18日(月)**より順次対応させていただきます。 お客様にはご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。 今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
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2025.07.04|もっと知りたい薬事広告|健康食品・サプリメント|化粧品、医薬部外品|美容室・エステサロン・整体
SNS運用の薬事担当者向け薬機法・景表法の重要ポイント
目次 はじめに 発信者による広告扱いの違いを理解する 会社・公式アカウント スタッフのアカウント 第三者(お客様・インフルエンサー等) 投稿チェックの3STEP STEP1:景表法チェック STEP2:薬機法該当性の判断 STEP3:表示内容の分類と個別チェック SNSで措置命令を受けた実例 事例1:株式会社アクガレージ及びアシスト株式会社 事例2:ロート製薬株式会社 実践的な管理体制の構築 必要なアクション チェック体制の整備 教育・研修の実施 SNS特有のリスクと対策 プラットフォーム別注意点 炎上リスクへの対策 まとめ はじめに SNSマーケティングが企業の重要な戦略となった現在、薬機法や景表法の規制は従来の広告媒体を超えて、Instagram、YouTube、X(旧Twitter)、Threadsなど、あらゆるSNSプラットフォームに及んでいます。 中小企業の薬事担当者にとって、SNS運用における法的リスクの理解と適切な管理体制の構築は、もはや避けて通れない重要な課題です。本記事では、SNS運用で特に注意すべき薬機法・景表法のポイントを実践的に解説します。 発信者による広告扱いの違いを理解する SNS運用において最も重要なのは、「誰が」「どのような立場で」発信するかによって、広告扱いになるか否かが決まることです。 1. 会社・公式アカウント 必ず広告扱いとなります。薬機法・景表法の規制が全面的に適用されます。 2. スタッフのアカウント 立場や目的によっては広告扱いとなります。 会社の指示で投稿する場合:広告扱い 業務の一環として投稿する場合:広告扱い 完全に個人的な投稿:非広告(ただし、会社との関連性が明確な場合は要注意) 3. 第三者(お客様・インフルエンサー等) 投稿内容を指示して依頼すれば広告扱い、自発的な投稿であれば非広告です。 広告扱いとなるケース 投稿内容を具体的に指示 投稿のタイミングを指定 特定の表現を使用するよう依頼 報酬を支払って投稿を依頼 重要なポイント 会社・公式以外のアカウントが広告投稿を行う場合は、「PR」「広告」「タイアップ」等、広告であることがわかる文言を明示する必要があります(ステマ規制対応) Instagram、YouTube、X、Threads等、媒体を問わず適用されます 投稿チェックの3STEP SNS投稿の薬事チェックは、以下の3ステップで体系的に行います。 STEP1:景表法チェック 確認項目 虚偽誇大な内容はないか(優良誤認) 価格や取引条件に関する誤認表示はないか(有利誤認) 広告投稿の場合、「PR」等の表記があるか(ステマ規制) STEP2:薬機法該当性の判断 表示が商品の広告に当たれば薬機法が適用されます。 商品名や商品画像の掲載 商品の特徴や効果に関する言及 購入を促す表現 STEP3:表示内容の分類と個別チェック 投稿内容を以下の3つに分類し、それぞれの基準でチェックします。 A. 一般情報 内容例:季節的な肌の変化、美容・トレンド情報など チェックポイント:商品と直接関連付けていないか B. 商品説明 チェックポイント 保証的表現はないか(「絶対に」「必ず」等) 効能効果の逸脱はないか 基本的な薬機法ルールを守れているか C. 使用体験談★ 最重要チェック項目 効能効果や安全性に関わる表現はないか 使用法、使用感、香りのイメージの範囲に留まっているか 薬機法ガイドラインF7.3の基準を満たしているか 体験談の判断基準 文章:発信者が主語になっていれば体験談(「私の肌が~」「~と思った・感じた」) 画像・動画:使用方法の説明はOK。使用前後の比較画像・動画は効果表現となりNG SNSで措置命令を受けた実例 事例1:株式会社アクガレージ及びアシスト株式会社(2021年11月9日) 参考:株式会社アクガレージ及びアシスト株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について 違反内容 バストアップサプリについて、飲むだけで豊胸効果があるような表現でInstagramで広告 食品でありながら医薬品的効果を標榜 学ぶべき点 健康食品であっても身体の変化を示唆する表現は危険 Instagramの投稿も従来の広告と同様の規制対象 事例2:ロート製薬株式会社(2024年3月15日) 参考:ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について | 消費者庁 違反内容 Instagramのタイアップ投稿をランディングページに転用 転用先ページでタイアップ投稿であることが不明瞭 ステマ規制に抵触 学ぶべき点 SNS投稿を他の広告媒体に掲載する際は、必ず「タイアップ投稿」であることを明記 「PR」等の表記が必要 大手企業でも見落としがちな盲点 実践的な管理体制の構築 必要なアクション 1. NG表現リストの作成と共有 投稿者に対し、最低限のNG表現リストを作成 驚異的効果を示す表現(「劇的」「驚異的」「奇跡的」等) 治癒・改善を示す表現(「完治」「根本改善」「治る」等) 安全性を保証する表現(「肌荒れなし」「絶対安全」等) 効果を断言する表現(「必ず」「絶対に」「100%」等) 2. チェック体制の整備 事前チェック体制 投稿前の必須チェック工程 薬事責任者による最終確認 外部専門家によるダブルチェック(必要に応じて) 事後対応体制 問題発見時の即座修正・削除体制 該当アカウントへの迅速な連絡手段 改善措置の記録・報告体制 3. 教育・研修の実施 対象者別の研修プログラム 公式アカウント運用者:薬機法・景表法の基礎知識 スタッフ:個人アカウントでの注意点 協力インフルエンサー:依頼投稿時の遵守事項 SNS特有のリスクと対策 炎上リスクへの対策 予防策 投稿前の複数名によるチェック 過去の炎上事例の定期的な学習 危機管理マニュアルの整備 発生時の対応 迅速な事実確認と対応判断 適切な謝罪と改善策の提示 再発防止策の公表 まとめ SNSマーケティングにおける薬機法・景表法の遵守は、単なる法的リスクの回避にとどまらず、消費者との信頼関係構築の基盤となります。 成功のためのポイント 発信者の立場による広告扱いの違いを正確に理解 体系的な3STEPチェック体制の構築 実例に学ぶリスク意識の共有 継続的な教育・研修の実施 中小企業においては、限られたリソースの中で効率的にSNS運用の法的リスクを管理することが重要です。基本的なルールを理解し、適切なチェック体制を構築することで、安全で効果的なSNSマーケティングが実現できます。 不明な点や個別の判断に迷った場合は、早めに薬機法・景表法の専門家に相談することを強くお勧めします。 このブログは薬機法広告規制の一般的な解説であり、個別の案件については必ず専門家にご相談ください。最新の法令改正情報についても、定期的に確認されることをお勧めします。 京都薬事広告ラボ株式会社では、最新の法令動向を踏まえた実践的なアドバイスで、貴社の事業成長をサポートいたします。 薬事広告のご相談はこちらから
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2025.05.09|お知らせ|案内
法人化特別キャンペーンのご案内
平素より大変お世話になっております。薬機法広告コンサルティングを行っております京都薬事広告ラボ株式会社 でございます。 このたび、これまで個人事業としてご愛顧いただいておりました弊社は、業務拡大に伴い法人化いたしましたことをご報告申し上げます。ひとえに皆様のご支援の賜物と、心より御礼申し上げます。 つきましては、法人化を記念し、これまでお取引いただいた皆様およびご関心をお寄せくださっていた皆様に向けて、 期間限定のキャンペーンをご案内申し上げます。 ■ 法人化記念キャンペーン 概要 対象サービス: 薬機法広告表現チェック・コンサルティング各種 特典内容: 初回ご相談料無料 または 単発メニュー20%オフ 申込締切: 2025年5月31日(金)まで 申込方法: 問い合わせフォームリンクよりお申し込みください ▶ お申込みフォームはこちら 薬機法に準拠した広告表現は、企業の信頼性を高め、行政対応リスクの軽減にもつながります。今後も貴社のマーケティング活動をご支援できれば幸いです。 ご不明点などございましたら、どうぞお気軽にお問い合せください。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 ■ 会社概要京都薬事広告ラボ株式会社薬機法広告コンサルティング・研修・表現チェックサービス代表取締役 橋本 圭子 https://kyk-lab.com/news-column/1677/