ステルスマーケティングは10月から景品表示法違反に!
広告であるにもかかわらず、広告であることを隠していることは、「ステルスマーケティング」とされます。
景品表示法は、うそや大げさな表示など消費者をだますような表示を規制し、
消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。
ステルスマーケティング告示の内容
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日内閣府告示第19号)
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの
告示により「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」(以下、「事業者の表示」という。)であるにもかかわらず、一般消費者が事業者の表示であることを分からない場合は、不当表示となります。
以下の要素を全て満たすものが不当表示となります。
事業者の表示であること
事業者の表示とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容や価格等の取引条件について行う表示のことであり、一般消費者に対して、商品・サービスを知らせる表示全般のことで、つまり、広告のことになります。
事業者の表示と判断されるのは、事業者がその表示内容の決定に関与したと認められる場合です。
つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合です
事業者の表示ではない、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合は告示の規制対象外です。
また、事業者の表示とは、自らが作成して表示する場合とともに、事業者自身が表示を直接作成せず、第三者に表示の作成を依頼・指示する場合であっても事業者の表示となる場合があります。
一般消費者が事業者の表示であることを分からないこと
一般消費者が表示を見て、事業者の表示であることが明瞭となっているかどうかを表示内容全体から判断します。広告・宣伝である場合、広告・宣伝であることが一般消費者に明瞭に分かるような表示を行う必要があります。
なお、広告・宣伝であることが社会通念上明らかに分かるものについては、告示の規制対象外です。
表示内容全体から判断するとは?
表示内容全体から判断するとは、表示上の特定の文章、図表、写真などから一般消費者が受ける印象・認識ではなく、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準となるということです。
× 一般消費者が事業者の表示であることが不明瞭で分からないもの
一般消費者から見て、事業者の表示であることが明瞭となっているか、不明瞭となっているのかの判断に当たっては、
表示上の特定の文章、図表、写真などから一般消費者が受ける印象・認識ではなく、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準となります。
例
・事業者の表示であることが全く記載されていない場合
・アフィリエイト広告において事業者の表示であることを記載していない場合
・事業者の表示である旨について、部分的な表示しかしていない場合
・冒頭に「広告」と記載し、文中に「第三者の感想」と記載するなど、事業者の表示である旨が分かりにくい表示である場合
・動画において、一般消費者が認識できないほど短い時間で、事業者の表示である旨を表示する場合
・一般消費者が事業者の表示であることを認識しにくい、文言・場所・大きさ・色で表示する場合(文章で表示する場合も含む。)
・事業者の表示であることを大量のハッシュタグ(#)の中に表示する場合
〇 一般消費者が事業者の表示であることが明瞭で分かるもの
広告である旨が一般消費者から見て分かりやすい表示になっているもの、
一般消費者にとって事業者の表示であることが社会通念上明らかなものは、告示の規制対象外です。
つまり、一目で広告であることが分かる場合はステマ規制対象外となります。
例
・「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といったSNS等で広く一般に利用されている文言による表示を行う場合
※ただし、上記の文言を使用したとしても、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められない場合もあります。
・「A社から提供を受けて投稿している。」等のように文章による表示を行う場合
・テレビCMのように広告と番組が切り離されている表示を行う場合
・事業者の協力を得て制作される番組や映画等において、スポンサー等の名称等をエンドロール等を通じて表示を行う場合
・新聞紙の広告欄のように「広告」等と記載されている表示を行う場合
・商品又は役務の紹介自体が目的である雑誌やその他の出版物における表示を行う場合
・事業者自身のウェブサイトにおける表示(特定の商品又は役務を期間限定で特集するページも含む。)を行う場合
・事業者自身のSNSアカウントを通じて表示を行う場合
・社会的な立場・職業等(例えば、観光大使等)から、事業者の依頼を受けて広告宣伝していることが社会通念上明らかな者を通じて、事業者が表示を行う場合
ステルスマーケティング告示の留意点
商品又はサービスについて行う表示であれば、あらゆる表示媒体が対象
景品表示法は、商品又はサービスについて行うあらゆる表示媒体が対象となり、インターネット上の表示(SNS投稿、ECサイトのレビュー投稿など)だけでなく、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などの表示についても告示の対象です。
規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者
規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
事業者(広告主)から広告・宣伝の依頼を受けて表示(掲載、投稿)や、制作を行う第三者(インフルエンサー、アフィリエイターなど)は従来の景品表示法と同様に告示の規制対象外です。
規制対象とならないもの
・広告・宣伝の表示の制作に関与しただけの者(例えば、広告代理店、インフルエンサー、アフィリエイター)
・表示を掲載しただけの者(例えば、新聞社、出版社、放送局)
・ただ単に商品・サービスを陳列して販売している者(例えば、小売業者)
・取引の場を提供している者(例えば、オンラインモール運営事業者)
ステルスマーケティング告示に違反した場合
消費者庁の調査の結果、違反行為が認められた場合、事業者に対して、措置命令が行われます。
措置命令については、その内容が公表されます。(課徴金はかかりません。)
措置命令の内容(例)
・違反した表示の差止め
・違反したことを一般消費者に周知徹底すること
・再発防止策を講ずること
・その違反行為を将来繰り返さないこと
また、表示内容に優良誤認又は有利誤認もある場合は、告示違反に加えて、優良誤認又は有利誤認として景品表示法上の措置を受けることになります。
図解やイメージ図付きで分かりやすく解説→景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック~ (caa.go.jp)